7月23日の日経新聞の記事によると、「中小・零細企業では現在、5人に1人以上が最低賃金に近い水準で働いている。中小・零細における影響率は10年前の14年度は7.3%だったが、10年間で3倍以上に急拡大した。20年前の04年度はわずか1.5%だった」との事です。
衝撃ですよね…すでに5人に1人以上が最低賃金に近い水準とは……
確かにここ数年の最低賃金の伸びには目を見張るものがあります。
さらに政府は最低賃金を「2020年代に全国平均1,500円」に引き上げる目標を示しています。
2024年度の全国平均は1,055円となっており、目標通りであれば、今後は毎年90円前後の引き上げということになります。
衝撃どころじゃなく、企業にとっては死活問題ですよね…最低賃金の話ですよ。
確かに最近の物価高を考えると、賃上げも必要であることは分かります。
ただし、本来、賃上げ(昇給)は企業側の裁量であるべきはずです。
それが最低賃金1,500円になると、3人に1人くらいがその水準になってもおかしくありません。そうなると、最低というより平均に近いですよね。
言うまでもなく、最低賃金は強制的な適用となるため、その場合に企業の決定権は無いのです。
また、単に「賃金を上げろ」と言われても、簡単にできる企業ばかりではありません。むしろ、厳しい企業のほうが圧倒的に多いのが現状です。
政府は目標を押し進めるなら、相当の支援も打ち出すべきです。
私の立場で言うと、すでに賃上げを支援する助成金があるのを知っていますが、残念ながら活用できる企業は限られます。
このままでは廃業せざるを得ない企業が続出してもおかしくありません。
私が言いたいのは、そうなった場合に、そこに勤める社員は失業してしまうということです。
「賃上げ=歓迎」でなく、まさかの「賃上げ=失業」となるのです。
5年後に時給1,500円、私は現実的でないと思っています。